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コラム

2021/10/21

身体機能向上やパフォーマンスUP!ファンクショナルトレーニングとその5大原則とは!?

ファンクショナルとは「機能的」という意味です。身体機能を高めることで様々な利点があるということで、近年ファンクショナルトレーニングが広まってきました。
今回は、ファンクショナルトレーニングの特徴や利点について説明していきます。

1.ファンクショナルトレーニングの考え方
2.ファンクショナルトレーニングの効果
3.ファンクショナルトレーニングの5大原則
(1)重力を利用する
(2)分離と協同
(3)運動連鎖
(4)三面運動
(5)力の吸収と発揮

1.ファンクショナルトレーニングの考え方

人間の身体は、関節・腱・筋肉それぞれに役割があり、これらは単体で機能するものではありません。

単体の筋肉が強いだけでは、正しい姿勢の維持や力の発揮は難しく、身体機能が正常とは言えません。身体機能が正常でないと何が起きるのか。

正しい姿勢を維持できず腰痛や肩こりに繋がったり、運動時の怪我のリスクの増加などが挙げられます。

そこで重要となってくるのが、「機能性」です。身体の関節・腱・筋肉が機能的に働くことで、正常な「動作」に繋がります。

ファンクショナルトレーニングの考え方の基本は身体全体の姿勢と動作です。

早速ファンクショナルトレーニングを深掘りしていきます。

2.ファンクショナルトレーニングの効果

ファンクショナルトレーニングは基本の姿勢や動作を鍛えるトレーニングとなるので、日常生活における障害予防や運動スポーツを行う人のパフォーマンス向上や故障リスクの軽減など様々な効果が期待できます。

姿勢の改善
怪我の予防や肩こり・腰痛の予防
効率の良い動作の習得によるパフォーマンス向上

なぜ、これらの効果が期待できるのか?他のトレーニングとどう違うのか?これらは下記のファンクショナルトレーニングの5大原則から読み解けます。

3.ファンクショナルトレーニングの5大原則

(1)重力を利用する

人間は生活する上で、寝ている時(臥位)や座っている時(座位)、立っている時(立位)も常に重力はかかっています。

ジャンプなど何気ない動作の中で重力を感じる時もあると思います。

身体機能や動作効率を向上させるためには、重力に耐える身体を作るということです。

重力に対して、身体のバランスを整える上で重要な機能が「体幹」の機能となります。

重力を利用し体幹の機能を高めるトレーニングを段階的に行うことが重要です。

人間の身体は、仰臥位(仰向け)が体幹の機能が入りやすい姿位(姿勢)です。

人間は発育・発達の段階で、筋力を発達させながら「仰臥位→うつ伏せ→四つ這い→膝立ち→立位」と段階的に姿位がとれるようになります。

この段階に合わせてトレーニングを行い機能性を高めていくことが重要です。

(2)分離と協同

人間の身体には多くの骨(206個)が存在しその骨と骨を繋いでいるのが関節です。よって人間の身体にはいくつもの関節が存在します。基本的には関節が動いて腱・筋肉が伸び縮みすることで動作が可能となります。

よって、筋肉だけを強化するのではなく、関節の動きの中で筋肉の働きを強化することで動作を強化(安定)することに繋がります。

また、関節はそれぞれ役割があります。安定性の関節(Stability Joint)と可動性(Mobility Joint)の関節です。各関節の役割はぞれぞれ交互になっており、これによってスムーズな動作が可能となります。これを「ジョイントバイジョイントセオリー」と言います。

トレーニングや日常生活に知って役立つ!身体の構造や動きについて

よく見られる例が、身体が硬く股関節の可動性が制限されていて、接地時に膝が内側に入ってしまい、膝を痛めるというものです。股関節は可動性の関節、膝は安定性の関節です。この場合、股関節の可動性が正常でないため、隣あった関節(膝・腰椎)に影響を及ぼすということになります。ただし、これらは単純なものではなく、隣り合っていない関節の影響を受ける場合もあります。よって身体の機能を高めるということは、全身が関係します。

これらの関節の役割を果たすために「分離」する必要があり、動作として連動させるために「協同」が必要となります。これが分離と協同の原則です。

(3)運動連鎖

上述にもあるように、人間の動作は単関節や単一の筋肉で行うものではありません。スムーズな動作は、多くの関節や筋肉の働きが連動して起こっています。複数の筋肉が筋膜などの軟部組織を介して連鎖することで初めて動作として構築されます。このように各部位の動作を統合した時に生じる筋と筋の繋がりを「運動連鎖」(キネティックチェーン)と言います。

関節・筋や運動パターンによって幾つかの運動連鎖に分かれます。

関節の運動連鎖

オープンキネティックチェーン 開運動連鎖

運動をする末端が固定されていない運動。単関節運動や単純な関節動作であることが多い。

代表トレーニング例:アームカール

クローズドキネティックチェーン 閉運動連鎖

運動をする末端が固定されている運動。多関節及び複雑な関節の動作であることが多い。

代表トレーニング例:プッシュアップ・スクワット

上行性運動連鎖

末端である足関節(足首)の位置・運動が上位の関節の位置・運動に関与する連鎖。

下行性運動連鎖

骨盤の位置・運動が下位の関節の位置・運動に関与する連鎖。

※上位と下位の関節に関しては上図をご覧ください。

筋の運動連鎖

動作を行う際、活動するのは主動筋だけでなく、複数の筋群が補助的に働きます。1つの関節運動でも多数の筋が協調的に機能し目的の動作を行います。

また、大きな「動作」という視点で考えると、筋には「サブシステム」という運動連鎖が存在します。これは、動作に対して背骨や骨盤を安定させパフォーマンスを高める筋群の運動連鎖を表します。

筋のサブシステムの代表的なものを2つ紹介します。

ディープ・ロンジテューディナル・サブシステム(DLS) 深垂直サブシステム

主な運動:走動作

つま先から頭まで全身を安定させるために関与し、地面から体幹や背部へと力の伝達を行う。

【関与する筋】

前脛骨筋・長腓骨筋・大腿二頭筋・仙結節靭帯・脊柱起立筋・胸腰筋膜

【役割】

・地面反力の吸収・伝達

・足首の安定保持

・前方への脚運動の減速

・体幹屈曲(かがむ動作)に抗する脊柱の安定保持

【起こるタイミング】

・踵が地面に接した時

ポステリア・オブリーク・サブシステム(POS) 後方斜めサブシステム

主な運動:身体の背面の連動

基本的には、仙腸関節を挟んで広背筋と反対側の大臀筋で構成されています。DLSと共に、胸腰筋膜を通して力学的エネルギーを伝える働きをします。

【関与する筋肉】

広背筋・反対側の大臀筋

【役割】

・下肢屈曲運動の減速

・上肢屈曲運動の減速

・骨盤の安定保持を補助

・伸展方向の加速

・AOSと共に運動を調整

【起こるタイミング】

踵接地のタイミング

ゴルフスイングやバッティング、野球の投球などの回旋動作時

特に回旋動作においては非常に重要です。回旋前は体を保ち、回旋後は減速に働きます。

(4)三面運動

人間の動作は基本的に三面でできています。よってトレーニングもこの三面にアプローチする運動が必要です。

矢状面
身体を前後に貫き左右に分ける面。最も一般的なトレーニングで用いられることが多く、代表的なトレーニングでは、シットアップ(上体起こし)やスクワットが矢状面のトレーニングに該当します。日常動作のイメージとして身体の前後への曲げ伸ばしなどが当てはまります。

前額面

身体を前後に分けた面。横方向へのトレーニングのアプローチで用いられ、関節は内転・外転の動きをする。代表的なトレーニングでは、ダンベルを持っての両腕を左右に広げ上げていく「サイドレイズ」というトレーニングが前額面のトレーニングに該当します。

水平面

身体を輪切りにして上下に分けた面。関節は内旋・外旋・回旋といった動きをする。代表的なトレーニングでは、ベンチプレスが水平面のトレーニングに該当します。

これら3つの面に対する運動を三面運動と言います。一般的な動作ではこれらが単一の面の動作となることは少ないですが、関節の動きとして面によって特徴があるため、これらを理解した上でトレーニングを行っていき、単一面の強化や複合的な面の強化に繋げていくことが重要です。

(5)力の吸収と力の発揮

人間は力を発揮する際に、出力とは反対の方向で溜める必要があります。力の発揮を(Unloading)、力を溜める(吸収)ことを(Loading)と言います。

人間の身体は筋の収縮によって関節を動かしているが、動きの中では筋が伸張された状態にもなり、筋が伸張された時には次に発揮する力が溜まった状態になる 

・力が蓄積された状態(筋が伸張された状態) 
ローディング(Loading) 
・力が溜まった状態が解放された状態 (伸張された筋が短縮して力が発揮された状態) 
→アンローディング(Unloading)

例として、ジャンプ動作では飛ぶ局面の前に低く沈まなければ高く飛ぶことはできません。

以上がファンクショナルトレーニングの5大原則になります。

最後に

ファンクショナルトレーニングの原則は、トレーニングのみならず解剖学的観点から身体の構造や動作を考慮した理論となります。

トレーニングといっても、ダイエットやボディメイク、運動習慣をつけるためや競技パフォーマンスアップまで、様々な目的があります。

ファンクショナルトレーニングは、それらの目的を達成するアプローチのトレーニング手法としても適しています。身体をより機能的に使うということは、障害予防やより強く速く動ける身体を作ることにも繋がります。また、身体の機能が高まると姿勢も良くなり安定し、適切な筋を使うことになるので自ずと身体のラインも整います。

皆さんもぜひファンクショナルトレーニングをRDC GYMで実践しましょう!